今治市・城慶寺「金剛力士像」制作
2026/10/25
そして私自身にとっても、この制作は特別な意味を持つものでした。 数ある仏像の中でも、私は東大寺南大門の金剛力士像(運慶・快慶らによる国宝)が昔から大好きで、「いつかあの圧倒的な迫力と躍動感をモデルにして、自分の手で金剛力士像を彫り上げたい」という夢をずっと抱き続けてきたからです。
ご住職の熱い想いと、御神木が持つ大いなる命、そして私の長年の夢が重なり合い、ついにその目標が叶うこととなりました。
制作は、圧倒的な存在感を放つクスノキの原木と向き合うところから始まりました。
こちらは制作開始前の阿形(あぎょう)の丸太です。クレーンで吊り上げられた巨大な御神木を前にし、長いガイドバーを備えたチェーンソーを据えた瞬間、いよいよ長年の夢に挑むのだと身が引き締まる思いでした。
そしてこちらは、粗彫りを進めている段階の吽形(うんぎょう)です。 東大寺の仁王像のような、全身を大きく使ったダイナミックなポージングと激しく舞う衣の広がりを表現するため、実は1本の丸太だけではどうしても横幅が足りませんでした。そこで、妥協のない迫力を追求するために別の丸太を継ぎ足し、伝統的な仏像彫刻の「寄木造(よせぎづくり)」にも通じるような工夫を凝らしてスケール感を確保しています。
制作にあたっては、張り詰めた筋肉の隆起や、風をはらんでうねる天衣(てんね)や裳(も)の動き、そして見る者を射抜くような力強い眼差しを徹底的に意識しました。クスノキ特有の豊かな香りや力強い木目を活かしながら、御神木としての魂を再び吹き込むように一刀一刀彫り進めました。
完成した像が城慶寺様の正面入り口の左右に安置された姿を見たときは、本当に感無量でした。原木の荒々しい塊から生まれ変わった御神木は、これから先何十年、何百年と、金剛力士像としてお寺と地域の人々を力強く守り続けてくれることと思います。
地域の記憶を宿す木を、魂を揺さぶるような作品へと昇華させること。今回の制作を通じて、作り手としてのさらなる意欲が湧いています。これからもこうした想いの詰まった、迫力ある作品をどんどん生み出していきたいと思っております。
今治市にお越しの際は、ぜひ城慶寺様に足を運び、生まれ変わった御神木の姿をご覧いただければ幸いです。
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